研究活動内容

  弘前大学は全国でもまれなメディカルスクール構想という将来構想を持ち、そのなかにSocial Medicine Instituteが据えられています。私は、社会医学の人間として、これをまたとない良い機会と捉えています。地域社会が有する弘前大学医学部に対するニーズには、
 ①医療(医師派遣など)、
 ②専門知識(研究成果の普及など)、
 ③医学教育(卒後教育も含む)、
 ④社会貢献(医療以外の、あるいは医療をも包括した)
があると考えます。地域への医師派遣が年々困難となっている現状、及び青森県の平均寿命(社会、医学の総合点)が相変わらず全国最下位に位置している現状では、④の社会貢献の重みが年々増していると思います。その中心的役割をSocial Medicine Instituteが担い、その真ん中に当社会医学講座がと、考えています。

  社会医学的ニーズといってもその範囲は広範です。例を挙げれば、母子保健、小児保健、学校保健、成人保健、産業保健、地域保健、高齢者保健、国際保健、医療・保健制度、疫学(臨床疫学を含む)などです。しかもこれらのニーズは日々変化しており、これらに対応するためにはそれなりの専門家が必要です。

  現在社会医学講座には、5名の定員に3名のスタッフしかおりません。梅田孝准教授(スポーツ医学、運動処方、健康増進担当)、高橋一平助教(地域保健、スポーツ医学担当)、中路重之(疫学、地域保健、公衆栄養担当)です。ただし来年度にはもう2名のスタッフの参加が見込まれており、そうすれば、精神保健、母子保健等の分野への対応もできるようになるものと期待しています。ただ、講座のスタッフだけでは限界があり、その意味では多くの講座外の関係者との連携と、その輪の拡大が必要であり、今はそのことに腐心しています。

  当講座では、平成17年4月より10年計画の岩木プロジェクトを開始しました。このプロジェクトは、弘前市に隣接する旧岩木町(市町村合併により平成 18年2月27日より弘前市)を対象に、10年の間に寿命延伸を目指して、医学的調査を中心に、関連のある種々の活動を行っていこうとするものです。初年度は、平成17年4月下旬に20歳以上の約1,000名の住民を対象に行いました。調査内容は、各種問診、身体計測:身長・体重,体脂肪率,骨密度、血圧、血圧脈波検査、心電図、各種体力測定、一般血液検査,ヘリコバクターピロリ菌抗体,ペプシノーゲン,PSA、好中球機能検査(活性酸素種産生能,貪食能)、スキンタイプ、プロテオグリカン、コラーゲン、呼気中一酸化炭素濃度測定、腸内細菌叢のDNA解析によるプロファイリング、便中のヘリコバクターピロリ抗原、遺伝子検査(血圧・脳卒中・循環器疾患関連、泌尿器疾患関連)、残存歯数、唾液量、などでした。本プロジェクトには、青森総合健診センター、弘前大学医学部第一内科、第二内科、皮膚科、泌尿器科、臨床検査医学、第一生化学、脳神経血管病態研究施設・脳血管病態部門、保健学科、保健管理センター、弘前大学教育学部、東北女子大学、岩手県立大盛岡短期大学部、岩手医科大学医学部衛生公衆衛生学講座、理科学研究所、日本大学医学部公衆衛生学教室、對馬歯科医院、株式会社タイヨウ、など多くの施設に共同研究として参加していただきました。中心的なデータを共有することで、多角的視点から、質の高い研究ができ、また多くの論文が生まれることを期待しております。